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幸せに生きる方法とは?本当の幸せ度は実は人生の出来事には左右されない

幸せ度という言葉があります。

幸せ度とは、幸せを感じる、もしくは感じている度合いのことです。

この幸せ度(又は幸福度)は人生という長い期間で見た時、その時々で上がったり、下がったりはするのですが、そのベースラインは一定なのだそうです。

つまり、何か良いことがあって、幸せ度が上がっても、またいずれはそのベースライン(基準となるライン)に戻ってくる。

反対に何か悪いことがあって、幸せ度が下がっても、またいずれはそのベースラインに戻ってくる・・ということになります。

ちなみに、日本全体を見た時、日本の幸せ度(幸福度)は世界各国に比べるとそれほど高くはありません。

これはその時代によって変わってくる可能性がありますが、幸せ度で上位に来るのは、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、スイス、オランダ、カナダ、ニュージーランドといった国で、日本は世界的に見ると幸せ度では中の上くらい。

この違いは、幸せ度のベースラインの高さの違いなのかも、知れません。

幸せに生きるためには何が必要か?ということを考えた時、この幸せ度のベースラインを上げるということが重要な鍵になってくるように思います。

今日は、幸せに生きる方法について見てゆきたいと思います。

目次

本当の幸せ度は、実は人生の出来事には左右されない

実はこれまで人が感じる幸せ度(幸せだと感じる度合い)というものについて、色々な研究が行われてきました。

その中でわかってきたことが色々とあるのですが、その1つが、人の幸せ度というものは年月を経てもそれほど変わらない・・ということです。

心理学博士で臨床心理士の古宮昇さんは自身の著書の中で、人の幸せ度のベースラインは一定であると語っています。

これはどういうことかというと、例えば、人の幸せ度を何十年という期間の中で見た時、その時々によって多少の上がり下がりはあるけれど、そのベースラインは一定である・・・ということになります。

簡単なグラフにするとこんな感じです。

青い線が幸せ度、赤い点線が幸せ度のベースラインになります。

青い線の幸せ度は、人生で起こる出来事によって上がったり、下がったりしますが、最終的にはその人が持っている幸せ度のベースライン(基準線)に戻ってきます。

幸せ度が高い人はこの赤い点線のベースラインが比較的高く、幸せ度が低い人はこのベースラインが比較的低いということになります。

このグラフを見てもわかりますが、幸せ度のベースラインというものは、人生で起こる出来事にはそれほど大きな影響を受けません。

何か大きなこと、幸せなことが起これば、幸せ度のベースラインも上がるような気がしますが、実はそうとは限らないようで・・

例えば、結婚したとか、昇進したとか、家を購入したといった幸せなことが起きた時、幸せ度は一時的に上がりますが、しばらくすると、また元のベースラインまで戻ってきます。

反対に、何か悪いことが起こった時、幸せ度は一時的に下がりますが、またしばらくすると、また元のベースラインまで戻ってくるのです。

だから例えば、幸せ度が低い状態の自分が「幸せになりたい」と思って、家を購入しても、その直後の幸せ度は上がっても、少し時間が経つとまた、「幸せになりたい」と思っていた頃の幸せ度の状態に戻ってしまう・・ということになります。

だから、幸せになろうとして何かを手に入れようとしたり、または不幸にならないようにして何かを必要以上に恐れたりする必要は本当はないのかも知れません。

その方法では、本当の意味での幸せ度(=幸せ度のベースライン)を上げることも下げることもできないからです

一時的に幸せになるのであれば、何かを手に入れようとしてみるのも1つの方法かも知れません。

ただ、ずっと幸せに生きてゆくためには、恐らく、この幸せ度のベースラインを一定のラインまで上げる必要があります。

そして、この幸せ度のベースラインは、何かを手に入れるという方法以外で上げなければならないようです。

どうやったら幸せ度のベースラインが上がるのか?

では、どうやったら幸せ度のベースラインを上げることができるのでしょうか?

幸せというのは感情の一種で、感じるものです。

自分を苦しめる考え方を変える方法、感情は思考の後についてくるでもご紹介しましたが、この感情というのは、思考の後についてくるものです。

つまり、その直前に何を思ったか・・ということが何を感じるか・・ということを決定しています。

例えば、事故に遭ってしまって治療のために入院することになったとします。

この時、「しばらく入院だな、ついてないな・・」と思えば、その思ったことに見合った感情が湧いてきます。

例えば、悲しいといった感情が湧いてきます。

ところがこの時、「(この事故で)命を落とす人だっている。自分はラッキーだったな」と思えば、同じようにそれに見合った感情が湧いてきます。

例えば、この場合は、幸福感のような感情が湧いてくるかも知れません。

起こったことは一緒なのですが、それに対してどう思ったかということが、その後に続く感情・気持ちを大きく左右しているわけです。

感情というのは、そういう意味で、飛行機雲のようなものだと思うんですね。

何を思ったかという部分が飛行機で、その後に続く感情は飛行機雲です。

だから、感情を変えるには、何を思うかという思考の部分を変えないといけない。

じゃあ、何を思うかという思考の部分を変えるにはどうしたらいいかというと、「何を見るか?」ということを変える必要があるかも知れません。

先ほどの例でも、ついていない部分を見ようとしたのか、ついている部分を見ようとしたかの違いが、どう思ったかという思考につながり、それがその後に続く感情につながっていったわけです。

ここで少し簡単にまとめると、①何を見るかということが、②どう思うかという思考につながり、③どう思ったかということがその後の感情を決定付ける・・という順番になります

幸せ度の話に戻りますが・・

幸せ度のベースラインが高い人は、幸せ度が高くなるようなものの見方をしていて、反対に幸せ度のベースラインが低い人は、幸せ度が低くなるようなものの見方をしているのかも知れません。

幸せ度のベースラインを上げるためには、幸せ度が高くなるようなものの見方をする。そして、それを自分の習慣にしてゆく必要があると思います。

幸せ度が高くなるものの見方

じゃあ、幸せ度が高くなるものの見方って何?

ということですが、これは、幸せなこと、良かったこと、ツイていたこと、うまくいったこと・・・といったことに焦点を当てるということになります。

ただ、ここで問題が1つあります。

それは、人はもともと、その反対のこと、つまり、不幸なこと、悪かったこと、ツイていなかったこと、うまくいかなかったこと・・・に焦点を当てようとする性質があるためです。

これは恐らく、生き残ってゆくために人が持って生まれた本能のようなものかも知れません。

例えば、大昔に道を歩いていたら猛獣にバッタリ出会ってしまった。

何とか逃げ帰ってきたけど、その後で、「あの道に咲いていた花は綺麗だったな~」なんて、良かったことを思い出していたら、次は生きて帰ってこれないかも知れません。

「猛獣がいて死にそうになった」という悪いことの方に焦点を当てようとするからこそ、その後も生きていけるわけです。

ちょっと大げさな例でしたが・・

こういったことは実は日常的に行われていて、人は不幸なこと、悪かったこと、ツイていなかったこと、うまくいかなかったことの方に焦点を当てて、そして、それを強く記憶に残そうとする傾向があります。

この生き残ってゆくために備わったモノが強く働きすぎると・・幸せ度のベースラインも下がってしまいやすくなります。

もっとも、そういった悪いことに焦点を当てることが必要な時もあります。

例えば、車を運転していたら、子供が飛び出してきて危なかった・・ということを覚えているから、安全運転をしようと思えるわけです。

ただ、大事なのはバランスで、幸せ度を上げるためには、必要以上に悪いことに焦点を当てない、良いことの方に焦点を当てる習慣を作ってゆくということが必要だと思います。

幸せなことに焦点を当てる習慣が自分を変えてゆく

さて、ここまで幸せに生きるためにはどうしたらいいか?ということについて見てきました。

そのための1つの方法は、幸せ度のベースラインを上げるということ、でした。

そして、幸せ度のベースラインを上げるためには、必要以上に悪いことに焦点を当てない、良いことの方に焦点を当てる習慣を作ってゆくということでした。

良いことの方に焦点を当てる。

とても簡単なことのようですが、先ほども書かせていただいたように、人は黙っていると悪いことの方に焦点を当てようとする癖があります

だから、良いことに焦点を当てるためには、意識する必要があります

もっというと、意識して良いことに焦点を当て続け、それを習慣にする必要があります。

そのために簡単にできることがあります。

それが1日の終わりに、その日あった良かったことをノートに3つ、書き出すということです。

こういったことを3つ、ノートに書き出します。

これは3つではなくてもいいです。そういったことをできるだけ、書き出してゆけたらもっといいと思います。ただ、最低3つは書き出してみます。

ちなみに、この「良かったこと」は、小さなことでも構いません。

最初は「今日良かったことが何も思いつかない」なんてこともあるかも知れませんが、それは大きな何かを探しているから。

探すのは、小さなこと、例えば、「今朝淹れたコーヒーが美味しかった」といったことで構いません。

そんな言ってみれば当たり前のようなことでも、「良かったと言えば、良かったかな」と思えたら、それも3つの中に含めてみます。

これを習慣にしたいので、できれば同じようなタイミングで実践してみるといいかも知れません。

例えば、寝る前にノートに書く・・でもいいです。

また、ノートに書くのが面倒なら、布団に入ったらその日あった良かったことを3つ思い出す、もしくはあるだけ思い出す・・でもいいです。

例えば、僕自身の場合は、夜、お風呂に入った時に湯船の中で今日良かったことやツイていたこと、うまくいったことを挙げてゆく・・ということを習慣にしています。

どのようなタイミングでもいいのですが、習慣にするという意味では、いつも同じタイミングで今日あった良かったことを挙げるようにするといいかも知れません。

先ほど、①何を見るかということが、②どう思うかという思考につながり、③どう思ったかということがその後の感情を決定付ける・・と書きましたが、良いことに焦点を当てると、その後には、それに見合った感情がくっついてきます。

だから、良いことに焦点を当てることを習慣にしてゆくと、日々の中で感じる幸せ度も自然と上がってゆきますし、日々の暮らしの中にある良いことが不思議とよく見えるようになってゆきます。

つまり、「幸せの感度」が上がるわけですね。

幸せの感度が上がるということは、簡単に言うと、今よりももっと色々なことに対して幸せを感じられるようになるということで、そうなると幸せ度のベースラインそのものが上がります。

幸せ度のベースラインを上げるということは、イコール、幸せの感度を上げるということなのだと思います。

  * * *

「幸せを感じるためには、何かを手に入れなければならない。」

実は、以前の僕はそんな風に思っていました。

だけど、幸せは手に入れるものではなかった。それは日々の中で、感じ取るものだったのです。

何かを手に入れないと幸せになれない。
何かを成し遂げないと幸せになれない。

そう考えていると、常に何かを手に入れ続けてゆかなければなりません。常に何かを成し遂げてゆかなければならないわけです。

そして、このやり方では、一時的に幸せ度は上がっても、そのベースラインは変わらないまま。

もっとも、何かを手に入れたり、何かを成し遂げることは、人生のスパイスになるように思いますし、それはそれで楽しく生きるためには大切なことだと思うんですね。

ただ、本当の意味で幸せに生きてゆくためには、何かを手に入れる必要も、何かを成し遂げる必要もないのかも知れません。

ところで、良いことに焦点を当てることを続けてゆくと、幸せ度が上がるだけではなく、色々な効果を実感できるようになります。

例えば、あまり気分が落ち込まなくなったりします。
例えば、物事を前向きに考えられるようになったりします。
例えば、不安や恐れのようなものを少し手放せるようになったりします。

色々な効果があるのですが、僕自身が一番実感したのが、「小さなことに幸せを感じられるようになる」ということでした。

以前は、幸せは手に入れるもの、何かを成し遂げることで得るもの・・そんな考え方をしていたので、小さな幸せに気づくことができずにいました。

だけど、幸せは実はもっと自分の身近にあったのかも知れません。